「若手批評家サミット2008 ――ウェブコミュニティとコンテンツの未来」

来週日曜の12日に(3連休の中日ですね)、下記のイベントに出演します。荻上チキさんと宇野常寛さんとの鼎談です。

「若手批評家サミット2008 ――ウェブコミュニティとコンテンツの未来」


インターネットや携帯電話が「当たり前」のものとして定着した現在、私たちのコミュニケーションと、そこで消費されるコンテンツはどのように変化し、どのような課題が浮上するのか。そしてそんな時代における批評メディアの役割とは? 1980年前後生まれの三人の論客が、縦横無尽に語りつくす新世代批評家サミットが実現!


話者:荻上チキ×濱野智史×宇野常寛


日時:2008年10月12日(日)13時30分開場、14時開始、16時終了


場所:三省堂書店神保町本店(http://www.books-sanseido.co.jp/shop/kanda.html


予約先:03-3233-3312


チケット料金:500円


荻上チキ(おぎうえ・ちき)】

批評家。1981年生まれ。兵庫県出身。専門は、テクスト論、メディア論。新刊『ネットいじめ』(PHP新書)。著書に『12歳からのインターネット』(ミシマ社)、『ウェブ炎上』(ちくま新書)、共著に『バックラッシュ!』(双風舎)がある。人文社会科学系を中心にネットで話題のニュースやトピックを紹介する人気サイト「トラカレ!」主宰。


濱野智史(はまの・さとし)】

批評家。株式会社日本技芸リサーチャー。1980年生まれ。慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科修士課程修了。専門は情報社会論。2006年までGLOCOM研究員として、「ised@glocom:情報社会の倫理と設計についての学際的研究」スタッフを勤める。近著に『アーキテクチャの生態系』(NTT出版)。


宇野常寛(うの・つねひろ)】

批評家、編集者。1978年生。企画ユニット「第二次惑星開発委員会」主宰。批評誌編集長。文芸批評からコミュニケーション論まで、幅広い評論活動を展開する。著書に「ゼロ年代の想像力」(早川書房)。〈新潮〉にて評論「母性のディストピア」を、〈サイゾー〉にて更科修一郎との時評対談「サブカルチャー 最終審判」を連載中。

ちょっとひとこと

 ドラマも小説も映画もロクに接していない人間なので、果たしてお二人のコンテンツ方面の話題についていけるのか、大変に不安です(涙)。とりあえず僕からは、やはりニコニコ動画やケータイの話が中心になるかと思います。

 あとは、ついに「Facebook」的なオープン化施策を開始したmixiの話題(「mixiプラットフォーム」)なんかもにも触れておきたいです。あの物議を醸した(!?)、「友達からはじめよう」(週刊ビジスタニュース)の宇野理論は、果たしていまの日本のウェブ環境で実践可能なのか? あるいは、その支援をするためにはどんなSNSアーキテクチャ設計が必要なのか? みたいな話を僕からはしてみたいかな、と。『PLANETS Vol.5』にも寄稿した梅田望夫論(「梅田望夫と西村博之の「思想」を比較する――ゼロ年代の「情報/日本」社会をめぐって」)にも繋がる論点になるかと思います。

参考

ちょっと情報・状況が古いものになってますが、関連記事として以下:

追記

 今月末に発売予定の『アーキテクチャの生態系』ですが、Amazonなど、各種ネット書店のほうにも情報が上がっているようです。

アーキテクチャの生態系

アーキテクチャの生態系

NTT出版のサイトから、目次が確認できます。
http://www.nttpub.co.jp/search/books/detail/100001909

第一章 アーキテクチャの生態系とは
第二章 グーグルはいかにウェブ上に生態系を築いたか
第三章 どのようにグーグルなきウェブは進化するか
第四章 なぜ日本と米国のSNSはちがうのか
第五章 ウェブの「外側」はいかに設計されてきたか
第六章 アーキテクチャはいかに時間を操作するか
第七章 コンテンツの生態系と「操作ログ的リアリズム」
第八章 日本に自生するアーキテクチャをどう捉えるか

『Review House』に寄稿しました。テーマは、ニコニコ動画の「アーキテクチャ」ではなく「コンテンツ」の批評。

まだ詳細が公表されていないので簡単に言及するに留めておきますが、こちらも近日刊行予定の『Review House』Vol.2に、ニコニコ動画上にアップされた、とある「作品」についての批評(レビュー)を書きました。昨年から、ずっとニコ動の話ばかりそしてきたわけですが、実はニコ動の「アーキテクチャ」ではなく「作品=コンテンツ」について論じるのは、これが初になります。――とはいうものの、実は「作品」そのものが「アーキテクチャ」(環境)でもあるような、そんな作品を取り上げてレビューをしています。こちらも、また詳細がわかり次第、改めて告知します。

……ということで、「詳細はまたいずれ」がやたらと多くなってしまいましたが、とりあえず2008年8月の近況報告は以上です。

『PLANETS』に寄稿しました。テーマは梅田望夫と西村博之の比較。

ゼロ年代の想像力』を上梓されたばかりの宇野常寛さんが編集されているミニコミ誌、『PLANETS』Vol.5(2008年8月30日発売予定)に、これもけっこう長めの論考を寄せました。詳細は以下をご参照ください。

タイトルは「梅田望夫西村博之の「思想」を比較する――ゼロ年代の「情報/日本」社会をめぐって」というものです。内容はタイトルのとおりです。おそらく普通に考えたら、ちょっと並べるにはありえないくらいに遠い――読者層も支持層もあまりに違う――と思われるこの二人を、エイヤっと一つの軸の上で比較する、という内容になっています。そして、この日本社会で「ネット(と社会のあり方)について考える」ということの意味を、いまの自分のできる限りで、掘り下げた論考になっているのではないかと思います。

また、この論考の内容は、冒頭でリンクした東さんのエントリー(http://www.hirokiazuma.com/archives/000436.html)でもご紹介いただいている(ありがとうございます!>東さん)、この秋に刊行予定の拙著『アーキテクチャの生態系』(仮題、NTT出版)のプレビュー版にもなっていると思います。

#書籍の内容についても、じょじょに案内していきたいと思います。とりあえず、『Wired Vision』のブログ連載を下敷きにした内容は、全体の約1/3程度になりました。新たに加えられた内容は、これまでの研究を元にしながら、Google・ブログ・2ちゃんねるmixiSNS)・WinnyP2P)といった、2000年代以降に登場した主要なソーシャルウェアの「アーキテクチャ変容史」を分析・考察する、というものになっています。詳細はまたいずれ。

荻上チキさんとの対談記事が出ます。(『ナツカレ2008 ソシオクリティーク』夏コミC74)

引き続き、ここ最近取り組んでいたお仕事の告知をします。

まず、荻上チキさんとの対談記事が、荻上さんと井出草平さんが編集されている同人誌に載ります。詳細は以下をご参照ください。

【情報】
場所 :夏コミ@東京ビッグサイトhttp://www.comiket.co.jp/
ブース:8月17日(日曜日)、西地区“ち"ブロック、19a 「ソシオクリティーク」
値段 :1000円(予定)
サイズ:A4、112ページ
題名 :『ナツカレ2008 ソシオクリティーク』

【目次】
斎藤環×荻上チキ×井出草平(座談会)
「ひきこもり作品メッタ斬り!―現代社会はひきこもりに何を欲望するか?―」
鈴木謙介×荻上チキ(対談)
「《若者》の表象・ジュブナイルの機能」
★阪口祐介×井出草平(対談)
「私たちはメディアを通じて不安になるのか?」
★阪口祐介(寄稿)
「私たちはなぜ犯罪不安を抱くのか? ―メディア接触によって高められる重要な他者への犯罪不安―」
辻大介(インタビュー)
「『パオロ・マッツァリーノ=「反社会学」騒動』を語る」(取材・構成:赤枝尚樹)
濱野智史×荻上チキ(対談)
ゲーム批評ゼロ年代の風景」
★「なんばりょうすけ(寄稿)
「騙されたくない人たち」
★岡本まくず(寄稿)
「へびいちご新聞 No.1」

当日は僕もブースにお邪魔させて頂く予定です(昼頃になってしまうと思いますが…)。

対談内容は、色々と内容は多岐に渡っています(といっても、僕のゲーム関連の話は、ほとんどがゲーム研究者・井上明人さん(id:hiyokoya)の議論の紹介になっています)。ただ、個人的には、以前ここでもちらっとだけ触れた『アサシン クリード』の話ができてよかったです。このゲーム、海外での評判はとても高かったわけですが、個人的に知る限り、ほとんど思想とか批評的には話題になってないみたいです(もちろん自分が知らないだけの可能性大)。でも、「十字軍のころの12世紀末の中東(エルサレム)でアサシンが活躍」という、あまりにも9.11後のこの世界においては「ヤバゲ」な世界観設定と、その不安?をいい意味で裏切ってくれた巧みなストーリーテリング(の構造)は、いかにもジジェクあたりが話題にしそうだなあ、と個人的に思ったりしてました。

あと、こちらの対談の内容については、荻上さんの以下のコラムでも触れられています。あわせてご一読を。

「秋葉原無差別殺人事件」関連

告知が遅くなってしまいましたが、まず、こちらの話題から。先週末、ちょこっとだけ東浩紀さんのお手伝いをいたしました。詳細は東さんのブログのほうで書かれているとおりです。

お手伝いした内容は、

2008年6月9日から2008年7月26日までに、2ちゃんねる上に立てられたスレッドの中から、「加藤智大」の名前を含む全171スレッドを調査し、そのタイトルのなかに「神」「英雄」「称える」「同情」など、共感的と思われるものを含むスレッドを抽出

というもので、東さんが「サンデープロジェクト」(テレビ朝日、8/10放映)に出演された際、「ネット上で加藤容疑者に対する共感も表出されている」ということを示す際に参照されました(多忙のため、まだ録画したこの番組を観ることができていないのですが…)。

上の調査内容というのは、見る人が見ればわかると思うのですが、実はぜんぜんたいしたことはしていません(「調査」というよりは、2chの過去ログを「検索」しただけ、というレベルです)。もちろん、「2ちゃんねる」以外の場所も調査しようとしたのですが――特に、別件で「Mega-View」をはじめとするケータイBBSの調査をしていたので、そちらの書き込み状況のデータも整えたいと当初は考えていました。なぜなら、加藤容疑者もまたその場所に書き込んでいたのだから――、取れる時間もなかった、というのが正直なところです。

このデータの「調査法」(といえるほどの代物でもありませんが)や「解釈」については、もちろん色々とツッコミどころはあると思いますし(詳細は東さんのブログのほうでフォローして頂いているとおりです。*1)、個人的にも思うところはあるのですが、少なくとも「共感者」が全く存在しない、ということはさすがにいえない、ということぐらいはいえるのではないかと思います。もちろん、「共感」といっても色々なレベルがありますし、当然一枚岩ではないことも、そして複雑なものにならざるをえないこともまた確かだと思います。

…ということで、色々と思うところはあるのですが、この事件とネットの関係については、別の場所で長めの論考を書きました(『アキハバラ発 〈00年代〉への問い』大澤真幸編、岩波書店、2008年9月刊行予定、に所収予定)。具体的には、「2ちゃんねる」「VIP板」「ニコニコ動画」(にアップされている「VIP替え歌」)、そして加藤容疑者が書き込んだケータイ専用レンタル掲示板「Mega-View」を分析・考察したものになります。こちらは詳細確定次第、またご報告します。

*1:ちなみに東さんがブログで「事件の直後、週刊新潮が「2chで加藤が神格化されている」と記事を書いて、 「釣られてるんじゃねーよ」と冷笑を浴びたという事件」と言及されている件については、たとえば以下の2chまとめ記事を参照のこと:痛いニュース(ノ∀`)週刊新潮、“秋葉原事件の容疑者を「神」と崇める2ちゃんねる”を批判

「ニコニコ大会議2008」での発表内容(おまけ:「やる夫」制作秘話)

 当日は「ニコニ・コモンズ」についてコメントをしました。言及してくださった記事にリンクします。ありがとうございます。

※追記:7/7 19:43

 以下、7/7付けの記事です。

 特に二つ目のASCII.jpの記事では、「ちょw」Tシャツや「やる夫」スライドといったネタ方面の話題から、「ニコニ・コモンズ」に関するコメント内容まで、とりわけ詳細にご紹介頂いています(4枚目5枚目)。ありがとうございます。上の記事でも紹介しましたが、ASCII.jpさんの全4編に渡るレポート記事は、当日の会場の雰囲気をよく伝えた良記事になっていると思います。未読の方や、反芻したい方はぜひ。

(追記終わり)

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