「秋葉原無差別殺人事件」関連

告知が遅くなってしまいましたが、まず、こちらの話題から。先週末、ちょこっとだけ東浩紀さんのお手伝いをいたしました。詳細は東さんのブログのほうで書かれているとおりです。

お手伝いした内容は、

2008年6月9日から2008年7月26日までに、2ちゃんねる上に立てられたスレッドの中から、「加藤智大」の名前を含む全171スレッドを調査し、そのタイトルのなかに「神」「英雄」「称える」「同情」など、共感的と思われるものを含むスレッドを抽出

というもので、東さんが「サンデープロジェクト」(テレビ朝日、8/10放映)に出演された際、「ネット上で加藤容疑者に対する共感も表出されている」ということを示す際に参照されました(多忙のため、まだ録画したこの番組を観ることができていないのですが…)。

上の調査内容というのは、見る人が見ればわかると思うのですが、実はぜんぜんたいしたことはしていません(「調査」というよりは、2chの過去ログを「検索」しただけ、というレベルです)。もちろん、「2ちゃんねる」以外の場所も調査しようとしたのですが――特に、別件で「Mega-View」をはじめとするケータイBBSの調査をしていたので、そちらの書き込み状況のデータも整えたいと当初は考えていました。なぜなら、加藤容疑者もまたその場所に書き込んでいたのだから――、取れる時間もなかった、というのが正直なところです。

このデータの「調査法」(といえるほどの代物でもありませんが)や「解釈」については、もちろん色々とツッコミどころはあると思いますし(詳細は東さんのブログのほうでフォローして頂いているとおりです。*1)、個人的にも思うところはあるのですが、少なくとも「共感者」が全く存在しない、ということはさすがにいえない、ということぐらいはいえるのではないかと思います。もちろん、「共感」といっても色々なレベルがありますし、当然一枚岩ではないことも、そして複雑なものにならざるをえないこともまた確かだと思います。

…ということで、色々と思うところはあるのですが、この事件とネットの関係については、別の場所で長めの論考を書きました(『アキハバラ発 〈00年代〉への問い』大澤真幸編、岩波書店、2008年9月刊行予定、に所収予定)。具体的には、「2ちゃんねる」「VIP板」「ニコニコ動画」(にアップされている「VIP替え歌」)、そして加藤容疑者が書き込んだケータイ専用レンタル掲示板「Mega-View」を分析・考察したものになります。こちらは詳細確定次第、またご報告します。

*1:ちなみに東さんがブログで「事件の直後、週刊新潮が「2chで加藤が神格化されている」と記事を書いて、 「釣られてるんじゃねーよ」と冷笑を浴びたという事件」と言及されている件については、たとえば以下の2chまとめ記事を参照のこと:痛いニュース(ノ∀`)週刊新潮、“秋葉原事件の容疑者を「神」と崇める2ちゃんねる”を批判