『アーキテクチャの生態系』まとめページ―目次・参考文献・索引など

アーキテクチャの生態系』に関する情報をまとめたページです(http://d.hatena.ne.jp/shamano/20081105)。

目次・参考文献・索引・正誤表などを公開します(一部未完成、随時更新します)。


アーキテクチャの生態系

アーキテクチャの生態系


 以下、『アーキテクチャの生態系』をご紹介頂いた皆様へのリンク集&コメントです(随時更新予定)。【更新:11月6日】

 仲俣暁生さんにご紹介いただきました。

連休の間に一気読みしたが、これはとてもわかりやすい「情報環境論」の概論であると同時に、出版関係者にとっても示唆に富む内容に満ちている本だと思った。インターネットというメディアについてほとんど理解していないと思われる旧世代のメディア関係者にこそ、ぜひ読んでもらいたい本だ。

 大変うれしいお言葉です。公開した「索引」にもあるとおり、かなりのインターネット関連の固有名詞が飛び交う本ではあるのですが、できる限り「手ぶら」でも読めるように、そしてただのサービス紹介に留まらないように配慮して書いたつもりですので、ぜひネットのことはいまいち分からないんだけど…という方にこそ手にとってほしいと思います。

 リンク先では、このたびフリーペーパー版として再出発することになった『IC(InterCommunictaion)』についても紹介されています。こちらには、荻上チキさんとの共著で「N±1マップ」という原稿を寄せています(チキさんの紹介エントリはこちら:http://d.hatena.ne.jp/seijotcp/20081104/p1)。

 チキさんとは現在共著本を準備中ですが、こちらはそのマニフェスト的文章にもなっています(その内容は、おそらくウェブの「生態系」をまた別の角度から捉えたものになるはずです)。こちらもご期待ください。

 本書でも引用させて頂いている経営学者、佐々木裕一さんにご紹介いただきました(リンク先でも触れられていますが、実は大学院時代の大先輩というか、個人的には師の一人として仰いでいる方でもあります)。

個別事例に対する鋭利な分析と、冒頭で広げたプランを見事に引き取った最終章の存在から素晴らしい作品になっていると思います。お勧めの1冊。余談だが、読みかけだった「プラネット・グーグル」を追い抜かして読了。

(中略)

本書の特徴は以下のとおり。
1.アーキテクチャ=情報環境に注目したサイトとコンテンツ分析を展開
2.それぞれのアーキテクチャの関係を進化論的に分析
3.アーキテクチャに注目しておきながら、しっかり人間と文化にも目配り
4.分析したサイトやコンテンツから日本社会論も展開

 特にありがたいのが、「進化論」とケーススタディのモチーフを非常に的確に触れてくださったところで、めちゃくちゃありがたい限りです(おそらくまっとうな「社会学」であれば、「進化論」や「生態学」のメタファーを使ってしまうというのは、大変にうさんくさいことだと思われることだと思うのですが、そこをあえて取り組んでみたのが本書の裏テーマだったりします)。

 とはいえ、師匠からは厳しくもありがたいご指摘も頂きました。特に「村井純」先生の誤記はマズイ! これはあまりにもマズすぎる…。猛省しつつも、正誤表も現在準備中ですのでこちらはお待ちください。また、佐々木さん論文からの引用(佐々木裕一「オンライン・コミュニティにおける2つの二層構造──RAMとROM、そして価値観とアーキテクチャ」『組織科学』第四一巻第一号、二〇〇七年。)のミスもやってしまった感爆発です…。できれば、こちらも重刷時に直したいと思います。

 また、スレッド「フロー」/スレッド「フロート」のミスも発覚。なんたることか、今までこの言葉は「スレッドフロー」として記憶しておりました(検索してみると、確かに「フロート」が歴史的には正しいようですが、検索してみると「フロー」の表記のほうが普及していることも判明しました)。

 「繋がりの社会性」(と日本社会論)については全くご指摘のとおりだとも思っていて、ised@glocomの遺産を引き継ごうと考えながらも、うまく発展的に消火/昇華しきれなかった部分でもあると思っています。このあたりはまた別にまとめて整理したいと思います。

 江坂健さんにご紹介いただきました。筆者にとっては、学生時代の頃から、『HotWired』の頃から大変に一読者としてお世話になってきた方ですので、大変に感激です……!

アーキテクチャ」と「日本」に着目し、具体的には、2ちゃん、Mixiニコニコ動画、といった日本独特のソーシャルウェアに関する分析が行われているわけだが、ここに至る背景には、レッシグ東浩紀北田暁大佐藤俊樹・・といった、情報社会に関する最前線の思想をしっかりと汲み取った上で、まさに「今」と「日本」が考えられていて、目の配り方のバランスが、まさに絶妙と言える。

そのために、濱野さんが「はじめての書籍」にかけたエネルギーも感じて、これだけのボリュームになったことも納得できる。ITに関しては、批評の分野でもアメリカからの輸入超過だが、この本は、十分、英訳され、英語圏で読まれる価値のある内容だと思えた。

 最近はニコニコ動画なども英語圏にちらほら紹介されることもあったり、それこそこれは上の佐々木さんのご指摘とも関係しますが、日本特殊と思われていた2ch的な匿名掲示アーキテクチャも、「4chan」という形で存在が知られるようになったこともあり*1、ソーシャルウェアの国際比較の視点は、今後も引き続き深めていきたいテーマの一つです。

#また生態系の国際比較という観点から、GLOCOM在籍当時の2006年に執筆した「韓国でグーグル(Google)が存在していないのはなぜか?」という論考も本書に収録される予定だったのですが、分量の都合で泣く泣くカットしています……。この取材記事は個人的には非常に気に入っているので(すでに古びた情報も多いとは思いますが)、興味をもたれた方はぜひあわせてお読みいただければと思います。

 帯文も頂いた、東浩紀さんからもご紹介いただきました。何よりこの本は、筆者がised@glocomという東さんの研究会をお手伝いさせて頂くきっかけがなければ、絶対に書かれることのなかった本ですので、感激もひとしおです。

じつはぼくは、濱野さんがその論文を上げてきたころ、ちょうど彼が出版したばかりで、ぼく自身も帯を寄せている新著『アーキテクチャの生態系』の紹介をしようと、このブログでエントリを準備していたところでした。しかし、その論文を一読し、こりゃあこっちのほうがすごいぞ!とか思ってただちに紹介を止めてしまったw。……というのは冗談としても、たださっくりと本を紹介する、なんてことができなくなったのは本当で、『アーキテクチャの生態系』が幅広い読者に向けて書かれた一般書(を偽装した書物)だとしたら、『思想地図』の論文のほうは、同世代の福嶋さんの連載などもかなり意識したうえで、彼自身の思想や社会観がかなりはっきりと打ち出されたコアなテクストにしあがっている。このブログの読者であれば、たいてい『アーキテクチャの生態系』は読んでいると思うのですが(そうでないひとはただちに読むのをお勧めします、いい本です)、そのつぎにはぜひ『思想地図』次号の濱野論文を読んでみてください。二つ続けて読むことで、濱野さんのヴィジョンが見えてきます。

「幅広い読者に向けて書かれた一般書(を偽装した書物)」なんていわれてしまっておりますが(苦笑)、あえて否定はしません。ということで、ここ数週間は思想地図論文の執筆に没頭しておりました。12月に出版予定の『思想地図』には、よりハードコアなアーキテクチャ論が掲載される予定ですので、あわせてお読み頂けますと幸いです。こちらもまた告知いたします(ちなみに、上で東さんが言及されている福嶋亮大さんの連載というのは、もちろん『ユリイカ』誌で連載中の「神話社会学」のことです。こちらの連載第3回では筆者の擬似同期論にも触れていただいたのですが*2、今度は僕のほうからの応答編、というよりかは補強的な内容になっています。ぜひあわせてお読みください)。


(以上、11/6更新分。随時更新予定)

*1:dekunology:4chanがいつの間にかトンでもない事になっている件http://dekubar.blogspot.com/2008/09/4chan.html 本書にはこのサービスの存在を踏まえた論点を入れられなかったのが心残りです…

*2:http://blog.goo.ne.jp/f-ryota/e/8adafb704552ffa37f08eac32caa929b