初の著作、『アーキテクチャの生態系』が出ました。
- 作者: 濱野智史
- 出版社/メーカー: NTT出版
- 発売日: 2008/10/27
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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諸々忙しく、慌しくしているうちに、いつのまにか発売日が来ていました…。
事前にご紹介頂いていた皆さん、ありがとうございます。
東さんにも、とても立派な帯を頂きました。
おいおい内容紹介のエントリなども書きたいと思いますが、とりあえず、この本は「Wired Vision」の連載(濱野智史の「情報環境研究ノート」 | WIRED VISION)をまとめたもの、ということになっています。しかし、全352Pの内容のうち、Wiredと完全に被っているのは1/3程度ではないかと思います。
おいおい内容も紹介していきたいと思いますが、とりあえず目次の引用と補足だけでも:
第一章 アーキテクチャの生態系とは
第二章 グーグルはいかにウェブ上に生態系を築いたか
第三章 どのようにグーグルなきウェブは進化するか
第四章 なぜ日本と米国のSNSはちがうのか
第五章 ウェブの「外側」はいかに設計されてきたか
第六章 アーキテクチャはいかに時間を操作するか
第七章 コンテンツの生態系と「操作ログ的リアリズム」
第八章 日本に自生するアーキテクチャをどう捉えるか
上の章立ては、いわば歴史年表のようにもなっています。上から順に、2000年代の、とりわけGoogle/Web 2.0以降の「ウェブ社会」(という言葉は本当は使いたくありませんが)に関する考察や分析をまとめたのが、本書です。
以下、簡単に解説です(小見出しもおいおい公開します)。
- 第一章 アーキテクチャの生態系とは
-
- 本書の位置づけとアーキテクチャ概論です。以前、『InterCommunication』の最終号に寄稿した「生態系マップ」を収録しています。基本的にこの図が本書の見取り図にもなっています(カバーしていない部分もありますが)。
- 以前インコミに寄稿した図:
- 上を元に今回デザイナーさんにデザインしてもらった図(Amazonより):
・・ここから先の章では、具体的なアーキテクチャの分析を行っています。
- 第二章 グーグルはいかにウェブ上に生態系を築いたか
- 第三章 どのようにグーグルなきウェブは進化するか
- 2ちゃんねる論です。おそらく、いままでにない新しいタイプの2ちゃんねる論になっていると思います。『PLANETS』に寄稿した「ひろゆきVS梅田望夫」論とも一部重複していますが、本書のほうがより詳細な記述になっています。
- 第四章 なぜ日本と米国のSNSは違うのか
- mixiとFacebookについて書いています。mixiについては、『10+1』に昔寄稿した文章が元にはなっていますが、ほとんど原型は留めていません。
- 第五章 ウェブの「外側」はいかに設計されてきたか
- Winny論です。こちらも『10+1』に昔寄稿した文章が元にはなっています。おそらく、「アーキテクチャ」概念がもっともコンパクトに凝縮されているのが、この章ではないかと思います。個人的にも思い入れの強い内容です。
- 第六章 アーキテクチャはいかに時間を操作するか
- 去年発表した、ニコニコ動画とTwitterとSecond Lifeの比較に関する考察が中心です(ITMediaの岡田さんが講演をレポートしてくださった記事、「なぜ「ニコ動」は盛り上がり、「Second Life」は過疎化するのか (1/2) 」は、大きな反響を頂きました)。ここは大半がWiredの記述と重複してはいますが、InterCommunicationに寄せた文章なども統合してあります。
- 第七章 コンテンツの生態系と「操作ログ的リアリズム」
・・という感じで、第二章から第七章までが、具体的なアーキテクチャなりコンテンツなりの分析になっています。
- 第八章 日本に自生するアーキテクチャをどう捉えるか
ということで、以上、ごく簡単に内容紹介を終わります。